大阪 ギャラリー ミニツアー 2 | sassan2000 diary

大阪 ギャラリー ミニツアー 2

大阪ギャラリーミニツアー の続き



gallery H.O.T 四塚祐子展

以前からHPで作家さんの作品を見て気になっていた。
版画の技法で制作した作品。
薬品をかけて偶発的に作られるというその白と黒の混じり合った細密な模様は、
よく見ると一つ一つが幾何学的な形状をしていて、
ついどこまでも目で追ってしまったほど、見ていて気持ちがいい。

全体の構図としては作家さんが言っていたとおり地平線のイメージが強く、
画面の下3/4を占める黒い部分は黒い点の集合体をイメージさせ、
そこから上に行くにしたがってその点が蒸発し空気と混じりあっているようだ。
底にある意識が上方にある無意識の領域に溶け込んでゆく、
もしくはその逆かもしれないが、
そういう印象を受けた。

細部まで作り込まれた作品の特徴は、
遠くから見るマクロの光景と
近くで見るミクロの光景が一つの画面の中に存在するということによって、
一つの宇宙のような世界を作り出す事ができ、
その感覚が見る人に別の世界へ連れて行かれるような感覚を起こさせる。
しかし逆に考えると、
ミクロとマクロ、
それぞれが絵として成立していると同時に、
そのふたつの関係性が重要になってくると思う。
前回の個展で展示した作品は、
ミクロの動きがそのままマクロの形状に発展した作品が多い。
しかし、in the cloud だけは
ミクロの動きとマクロの動きそれぞれが複雑であり、
一見まったく別の動きをしているようであるが
よく見ると微妙な関係を元に形成されている、
そんな作品だった。

また、
事前に今回の展示を見に行った人から噂は聞いてはいたのだが、
やはりパネルの異常な反りが気になった。
自分の作品もきちっとした完成度が求められるだけに、
他人事ではないなと思う。





gallery 白  國方善博展

ここは西天満エリアで一番好きなgallery。
空間がというわけではなく、好みの作家が多い。
イメージ的には淡いものより硬質な作品が多い。
完成度も高いものが多い。

会場内には所狭しと、
台の上に置かれた作品が並べられていた。
空間を意識してというよりは、
せっかくだからいっぱいだしてしまった感が強かった。

反面作品ひとつひとつの完成度は非常に高い。
彫刻の硬質な質感と、
それを微妙なバランスで支える木の土台の暖かさ。
そして何より彫刻の風を感じさせるような軽やかな形態と、
増殖した生命を感じさせる不思議な形態。
表面の銅のようなくすんだ表面の奥に見える金色の輝きは、
見ていてどこまでも深く吸い込まれて行ってしまうほど心地よかった。
すべてがうまく融合された作品。
ここでもやはりミクロとマクロの関係を思わせた。

彫刻の技法についての知識は皆無なので、
作家さんに色々教えて頂く。
とても純粋な印象の方で、
思いのままに粘土を練っている時におもしろいと感じた形態を
そのまま抽出して作品にしているらしい。

ある作品が未来少年コナンのオープニングに出てくる飛行船
(むやみやたらに翼がでかいエイのような飛行船)
を連想させたので、
作家さんに話してみると彼も納得笑
しばしコナン話で盛り上がる。



今回の二人の作家の作品のディテールは、
どちらも液体(薬品)を撒いた時に起こる偶発性に委ねている部分が大きい。
(かなりの経験によるコントロールも含まれてはいると思うのだが)
やはり完全に人の手でコントロールされているものではなく、
自然の力が含まれている形態はおもしろい。
自然のみが作り出す形態でも、
人と自然が融合した形態でも、
人が完全にコントロールしたものより魅力があるように思える。

今日は色々良い勉強になりました。