大阪 ギャラリー ミニツアー 1 | sassan2000 diary

大阪 ギャラリー ミニツアー 1

今日は大阪ギャラリーミニツアーに行って来た。


gallery wks. 牛島光太郎展

オーナーのkさんが先日の個展に来て下さったのでまず最初に。
マンションの11階の一室がギャラリーになっていて、
見渡しのいい渡り廊下が気持ちいい。
部屋の中は想像以上に広くて驚いた。
朝11にお伺いしたため作家の牛島光太郎さんはおられなかったのだが、
kさんと色々お話をした。
展示されている牛島さんとはお会いした事はないのだが、
一昨年のamuseでご一緒して作品だけは知っていて、
そのときからおもしろいなあと思っていた。
彼の作品は日常の中にあるものに直接、
彼の短い文章をのせたもの。
灰皿やコップから、壊れた自転車まで、とりあえずセンスがいい。
kさんのお話によると、
元々文章も書いていた方で、
それを融合した形で表現しているとのこと。

文字とは何か
言葉とは本来あるシチュエーションで発せられた瞬間に
最大の力を発するものだった。
しかし「印刷」という技術が発明され「活字」が生まれてから、
「言葉」と「時間」との密接な関係性は薄くなっていった。
いつ本を開いてもそこに「言葉」が存在する。
彼の作品はその今は当たり前になっている事実に疑問を投げかけ、
新しい「言葉」を探しているようだった。
今回は立体の中に同じ物質で作られた言葉が隠れていて、
より言葉と物体との融合が感じられた。


また今回の展示の中で、
セロテープだけで作った天井から床まで浸食する巨大生物の立体が印象的だった。
個展開始の2週間前から現場で作ったらしい。
セロテープを丸めて固め、ひとつの巨大な物体になる。
光沢のある物体は一見樹脂で作ったかのようにも見える。
樹脂で作る場合はあらかじめ型を作ってそこに液体を流し込むため、
あらかじめ最終形を想像しないといけない。
しかしセロテープの場合は頭の中のイメージに合わせて
どんどん増殖していくことができる。
また、カッターで簡単に削ぎ落とすこともできる。

いわゆる石や木を使っての場合、
削ぎ落とす方向で形を作っていくが
増殖させる方向で形をつくるのは難しい。
そういう意味でもおもしろい素材だと思った。

自分の作品の制作方法は樹脂に近いなと思った。
今後セロテープに近づく事はあるのかなあ。



kさんが僕の個展の後に滋賀県立近代美術館で買ったという
鈴木其一の「富士超龍図」のポストカードを頂いた。
富士をバックに龍が水面から飛び出した瞬間の絵。
山と水と龍、僕の個展の作品の要素がすべて含まれていたので
買ってきてくれたらしい。

時間を超越した共通項に
日本というものを感じた。
場所の力が時間を超えたのかな。
それとも大きな時間の流れの中のごく一部にすぎないのかな。
宇宙規模で考えると、
ミクロ細胞がどんどん生まれ変わる中の一つの現象に過ぎず、
ちっぽけにも値しないことだろう。
無に等しいこと。

でも描かないとやっていけない。
細胞が生きて行く上で。
個展が終わりまだ一週間も経っていないのに、
制作していていない自分に違和感を覚えた。
事務的作業や今後の展望について色々考える毎日の中で、
人に認められたい欲求や、
具体的な生活に対する不安に押しつぶされそうになっていたけど、
やっぱり自分は自分のために制作していたんだと気付く。

制作することで
自らを心身共に追いつめ、
このまま続けていても自分は幸せになれない、と思ったこともあった。
でもそれは自分が生きて行くために必ず必要な事だったのだと思う。
その山を超えて、
新しい世界を見渡すことができ、
次の山が見えてくる。
そういう活動をしていこう。